2025-09-28

自主防災公開研修会のご案内

福知山自主防災ネットワーク
第9回公開研修会のご案内

日時 2025年11月13日(木)  19:00
場所 市民交流プラザふくちやま3F市民交流スペース

研修テーマ:地域の防災力を考える

詳細は下の案内チラシで確認してください。



2025年度会員等研修会実施

福知山自主防災ネットワーク
2025年度会員等研修会
テーマ 「三峠(みとけ)断層地震被害想定と最新備蓄基準について」

2025年9月25日 18:30~20:45
福知山市防災センター研修室



対象者
  • 福知山自主防災ネットワーク会員及び相談役
  • 防災、避難支援等担当行政関係者

参加者 43名

開会あいさつ 山邊義弘副代表

福知山自主防災ネットワークは9月25日(木)夜、福知山市防災センター研修室において2025年度会員等研修会を行いました。今回はテーマを「三峠(みとけ)断層地震被害想定と最新備蓄基準について」とし、今年度見直されたという地震被害想定の状況とその根拠、さらに京都府による公的備蓄の基準見直しと福知山市の現状と今後の計画について学びました。
《第1部》
最初の30分間は今回も防災実技研修にあて、福知山消防署救急救命担当課長の稲垣鎮さんに指導していただきました。

今回は「環境の変化による身体の影響」を考えるとして、熱中症、ヒートショック、エコノミークラス症候群の予防について取り上げていただきました。
熱中症の予防には水分補給が推奨されていますが、実はヒートショックの予防にも水分補給が必要であり、熱中症とヒートショックに共通のキーワードは脱水症状であることを学びました。
風呂に入ると汗をかく。汗で体内の水分が失われると脱水状態になる。そうなると血圧が上がるため心筋梗塞や脳梗塞が発生しやすくなります。風呂場などでの急激な温度変化にさらに脱水状態が加わると急な血圧上昇による危険が増すということでしょうか。入浴前後の水分補給の大切さを知りました。
また、エコノミークラス症候群とは「肺血栓塞栓症」のことであり、長時間、同じ姿勢でいるなどすると血流が停滞することで血栓を作り、それが肺動脈に詰まってしまう疾患だそうです。飛行機など乗り物での長時間移動時だけでなく、災害時の避難所や車中泊避難でも気を付けなければなりません。「せまい」「同じ姿勢」「水分摂取不足」「冬場の乾燥」「夏場の発汗」がリスク要因です。
以上のことを学んだ上で、最後にエコノミークラス症候群を防ぐための実技として、足の運動を参加者全員で行いました。

《第2部》

報告者  福知山市危機管理室 清水俊行室長
報告1 三峠断層地震被害想定
報告2 京都府の備蓄基準改定と福知山市の備蓄現状

京都府は令和6年度に、府内市町村で最大の被害が想定される主要な活断層の被害想定見直しを実施し、令和7年5月に公表しました。この「主要な活断層」の中に市内の長田のから三和町を経て京丹波町に伸びる三峠(みとけ)断層も含まれています。
京都府の発表後に新聞記事も掲載されましたが、被害想定規模が縮小されたというだけでその根拠が示されず、私たちの会員の中から疑問が出されていました。今回の研修会では、次のような大幅な被害想定首相の根拠について説明をお願いしていました。

◇主な被害想定の変更(2008年→2025年)

  • 最大震度 7→7
  • 死者数 720→260 (▼460)
  • 短期避難者数 44,320→19,447 (▼24,873 減少率56%)
  • 全壊建物 21,350→14,065 (▼7,285 減少率34%)
  • 焼失建物 4,500→445 (▼4,055)

《見直しのポイント》

清水室長からは前回(2008年)との違いについて、以下の点が説明されました。
①建物被害の減少
・府内全域での建物の耐震化率向上
・地震による建物被害の最新データを基にした新たな被害想定手法(内閣府)から算出
②液状化による建物被害数の増加
・近年の液状化減少の状況を考慮した結果、若干の増加
③急傾斜地崩壊による建物被害数
・近年の直下型地震の事例より、急傾斜地崩壊による建物被害の発生確率変更
・土砂警戒区域の建物も対象
④焼失家屋の減少
・近年の消防力の向上を踏まえ減少傾向

《ライフラインの復旧見込み》

この他、ライフラインの復旧見込みについて次のように報告されました。
※あくまでも想定であり、実際の災害時の復旧を保証するものではない。
  • 上水道給水率 発災直後 約5% → 1カ月後 約87%
  • 下水道利用可能率 発災直後 約88% → 1カ月後 約98%
  • 電気の利用可能率 発災直後 約95% →7日後 約100%
  • 携帯電話の利用可能率 発災直後 約87% → 7時間後 約100%
  • 固定電話の利用可能率 発災直後 約91% → 7日後 約100%

続いて、「備蓄の基本的な考え方」として、最近見直されたという「京都府公的備蓄の考え方」(本年5月公表)について報告されました。

《京都府の公的備蓄等に係る基本的な考え方》

○ 公助による物資確保は、自助・共助による物資確保を補完
○ 生命・健康維持の観点から重点備蓄品目を府・市町村で共同備蓄
(府・市町村それぞれの区域の最大被害想定に基づいて確保することを目安)
○ 重点備蓄品目及び数量
・全壊・焼失により個人による備蓄が活用できなくなった短期避難者を対象
・他地域からの支援又は流通在庫方式での調達が困難な発災後24時間内に対応
  • 食 料 1人当たり2食(アレルギー対応を考慮)
  • 飲料水 1人当たり1㍑(別途応急給水等を確保)
  • 毛布等防寒用具 1人当たり1枚
  • 簡易トイレ 100人当たり1基
  • おむつ(大人用) 75歳以上の10%について1人当たり8枚
  • おむつ(子供用) 0~3歳児について1人当たり8枚
  • 女性用衛生用品 13歳~50歳女性の25%について3枚
○ 市町村は、重点備蓄品目以外の生活物資や避難所運営資機材の備蓄や調達に努
力。京都府は、市町村間の融通及び流通在庫方式での調達等を通じた物資の確保
を実施

福知山市では上記の「京都府の考え方」を受け、災害時最大被害想定である三峠(みとけ)断層地震発生時の短期避難者数19,500人(家屋全壊・全焼被災者数)を公的備蓄の対象とし
  • 1日3食の食料3日間 (1日目)福知山市 (2日目)京都府 (3日目)近隣市町融通備蓄
  • 必要物品(福知山市、京都府、近隣市町融通備蓄、流通備蓄)
の備蓄を令和10年度末に向け計画的に行うそうです。
「流通備蓄」とは、民間事業者と協定を結んでおき、災害時に必要な物資の調停を行ってもらうことです。
また、他に「国のプッシュ型支援」もあります。これは、被害地からの具体的な要請を待つのでなく、被災者の命と生活環境に不可欠と見込まれる物資を国が調達し、被災地に緊急輸送するシステムです。能登半島地震の際には、以下の物品が災害直後に発送され、翌2日には到着したそうです。
  • 生活必需品:食料、飲料水、乳児用粉ミルク・液体ミルク、毛布、携帯トイレ等
  • 寒さ対策:防寒着、暖房器具や燃料等
  • 女性・子育て世代向け:生理用品、お尻ふきシート、乳児用おむつ等

この他、共助と自助による備蓄の推進について要請がありました。
自助では、3日間を想定した備蓄が必要であり、水・食料はもちろん薬など各家庭で実際に必要となるものの備蓄が推奨されました。

まだまだ三峠(みとけ)断層地震とその被害想定についての市民の認知度・理解度は低く、今後一層啓発を進めることの必要性を感じました。

《第3部》意見交換

最後に意見交換を行いましたが、これまでになく活発に質問や意見表明がなされ、今回の研修テーマの重要性が再確認されました。
意見交換(質疑)の主な内容については、参加者アンケート結果のまとめとともに追って掲載予定です。




《参加者感想》

私は由良川と土師川の堤防に囲まれた土師宮町で自治会長をしています。過去から何度も台風や大雨の度に内水被害を受けていて、水害に対する意識は高い地域です。
今回の三峠(ミトケ)断層地震による被害想定最新情報を福知山市危機管理室の清水室長の報告を聞いて、三峠断層の位置はおおよそ知っていましたが、福知山インターから三和町大原を通り京丹波町の胡麻付近まで続いていると聞き三和町大原出身の私はとてもびっくりしました。しかも最大震度7も想定されていて、これは一気に他人ごとではなくなってきました。
この研修で人的被害や建物被害の想定比較を教えていただきましたが、大きな地震の度に家具の固定は進めているけど、まだ完全でないのでこの機会に家具の固定を完了させます。まず私から、そして私の住む地域を地震の被害が少ない街づくりを進めていきたいと思いました。(土師宮町 吉見道徳)

最後に、当面の取組として第9回公開研修会(11月13日・木・午後7時 交流プラザ福知山)の取組を事務局から提起し研修会を終えました。


閉会あいさつ 仁張 衛(福知山自主防災ネットワーク代表)