2024-03-02

聴覚障害者等対象の避難訓練

福知山市内在住の
「聞こえない方」「聞こえにくい方」対象の防災訓練が行われました!

 2024年3月2日
会場 福知山市総合福祉会館 ※案内チラシ下に掲載


この防災訓練は、聴覚障害者の豊かな暮らしを築く福知山ネットワーク(※)と福知山市(障害者福祉課・危機管理室・地域包括ケア推進課)との合同企画として取り組まれました。
(※)福知山障害者協会、福知山難聴協会、大江町手話サークル、福知山手話サークル「こづち」、福知山要約筆記サークル「みみの輪」5団体で構成

聴覚障害のある方が、避難所で流される音声情報に気づかず、入浴や食料などの支援から取り残されている現状がこれまでの被災地から報告されています。今回の取組は、健常者が多数を占める避難所で障害のある方たちが置き去りにされたり、居心地が悪くなったりしないために何が必要か探る上で非常に有益なものとなりました。

私たち福知山自主防災ネットワークの事務局メンバー4人は耳栓をして参加し、耳の聞こえない方の避難所での疑似体験を行いました。

避難所到着後に受付を行いますが、筆談ボードが準備されていたので受付そのものはスムーズに行きました。ところが、階段を上がって行った先の避難すべき部屋の場所が分からず困りました。途中に居るスタッフは口に×印があり情報提供しない役だったので、教えてくれません。「情報弱者」とはこのことかと思いました。

やっとたどり着いた避難部屋には、聴覚障害のある方の他、数人の若者がいました。若者たちは自分たちで仲良く楽しそうにしゃべっています。部屋に入った私たちは状況が分からず戸惑うばかり。完全に取り残された状況で30分ほど過ごし非常に疲れました。

健常者であれば自分からコミュニケーションを取り、その場の状況などを把握しようとするのでしょうが、聞こえない・話せない立場になると訳が分からないばかりです。

以上の経験から、避難所へ来られた方、特にハンディがある方の受付や避難部屋への案内、部屋内などでの気配りのある対応が必要と思いました。

避難所を開設するなら、受付担当だけでなく避難部屋の担当者も置き、新しく入室した方への状況説明や困りごと把握などをするのが必要だと思います。それは、市の職員でなくても避難している方の中から決めるのでもいいでしょう。来られた方が聞こえない方だと分かれば筆談ボードでの対応もできます。

これまでは実際に避難された方が少なく、またその中でも障害のある方の避難はさらに少ないと聞いています。能登半島地震のような大きな災害が起こったときに慌てずに済むように、今回のような実践的な避難訓練を実施し課題を見つけることは非常に有益だと感じました。


避難所体験終了後は大きな会議室に移動し全体会、次いでグループ討議が行われました。
全体会議では、参加された方から率直な感想や意見が出されました。今後、受付や避難所での情報提供の仕方などに改善がなされるものと思われます。


今回、中心となって運営された聴覚障害者支援団体の皆さん、土曜日を返上して参加された福知山市職員の皆さんに心から敬意を表します。

令和6年能登半島地震の被災現場では今改めて「災害関連死」をなくす取組が注目されています。災害が起こってからではなく、起こる前から準備できるよう机上の議論から実践的な課題把握と解決へ!福知山自主防災ネットワークも微力ながら頑張りたいと思います。
(福知山市自主防災ネットワーク事務局長 大西勝己)