2024-10-01

2024年度会員等研修会 「備蓄を考える」

福知山自主防災ネットワーク
令和6年度会員等研修会に40名参加

研修テーマ「備蓄を考える」

2024年9月26日(木) 18:30~21:00
福知山市防災センター研修室

《対象者》

①福知山自主防災ネットワーク会員・相談役登録者

②防災・避難支援担当の行政関係者等


 開会あいさつ

 福知山自主防災ネットワーク
 代表 仁張 衛

《研修1》防災実技研修

研修テーマ:避難所でのリスク管理

講師 福知山消防署救急担当課長 稲垣 鎮 様


救急担当課長の稲垣さんから、「避難所でのリスク管理を救急隊の視点で考える」と題し話していただきました。
避難所で負傷や体調不良などが発生し救急車を要請するとき、救急隊が最低限の情報として欲しいもの(搬送メモ)は、
  • 氏名
  • 生年月日と性別
  • 住所
  • 連絡先
  • かかりつけ医
  • 引継ぎ者と引継ぎ時間
  • 本人の訴え
  • 持ち物
  • 備考
この他にバイタルサインなどがあればなお良いとのことでした。
また、あらかじめ準備しておいたら良いものとして、引継ぎ用のメモ(避難所にあれば便利)、お薬手帳又は現に処方されている薬、付き添いの人、履物などを挙げられました。

ただし、救急車を呼ぶかどうか迷う場合が多いので、そんな時は「救急の電話相談窓口 」を利用すればよいそうです。「救急車を呼んだ方がよいか」「今すぐ病院に行った方がよいか」など判断に迷ったときに相談でき、医師、看護師、トレーニングを受けた相談員が電話口で傷病者の状況を聞き取り、緊急性や受診の必要性などを判断してもらえるそうです。

注)救急の電話相談窓口は、全国共通の無料番号「♯7119」です。固定電話や携帯電話からダイヤルでき、ダイヤル回線やIP電話の場合は0570-00-7119に電話します。

呼吸状態はバイタルサインのひとつ

生きている証拠としてのバイタルサインにはいろいろな数値がありますが、避難所で直ぐに利用できるものとして呼吸状態からの判断が挙げられました。
成人の呼吸回数の正常値は1分間に14回~20回であり、1分間に30回以上の速い呼吸や9回以下の遅い呼吸では緊急事態!となります。
今回は「ちょっと実技」として、参加者がペアとなって向き合いお互いの腹部などを観察し呼吸状態を把握する方法を学びました。(写真下)
注)「バイタルサイン」とは、患者の生命活動や健康状態を示す指標で、「生命兆候」とも呼ばれます。脈拍、呼吸、体温、血圧などの数値を測定することで、患者の状態や症状の緊急性を把握したり、治療の効果や異常を早期に発見したりすることができます。

避難生活の中で生じる体調不良などを早期に発見し必要な支援を受けることが、災害関連死を防ぐことにつながると思います。今後も災害発生後の避難生活においてお互いの体調を確認できる術を学んでいきたいと思いました。

今回も救急担当課長の稲垣さんから非常に役立つ研修を受けることができました。ありがとうございました。


《研修2》 

災害対応のための備蓄を考える

1. 福知山市の備蓄の現状と課題

報告者 福知山市危機管理室 寺田 武史 様

福知山市の災害備蓄の現状と今後の計画について、危機管理室の寺田さんから報告していただきました。
公助のための公的備蓄は、福知山市に最大の被害をもたらすと想定される三峠(みとけ)断層地震における最大想定避難者数を基礎とし、家屋が全壊・焼失した約25,700人分(個人の備蓄物資を持って避難できない避難者)を整備する(「福知山市備蓄物資整備計画」)とのことでした。
避難所運営敷材として、簡易ベッドや間仕切り、プライバシーテントなどの備蓄率が100%との説明がありましたが、どれだけの必要数を前提にした100%なのか、避難所での雑魚寝などの災害関連死の原因となる状況を防ぐのに十分な備蓄数なのか、また水・食料についても何日分を想定した備蓄かなど、参加者からは様々な疑問が出されています。
地震による断水と停電時のトイレ問題も、現在のマンホールトイレの整備状況で十分なのか、簡易トイレの整備も十分なのか、能登半島地震の被災地の状況を踏まえ新たに問い直される必要があります。


2. 地域における備蓄の先進事例

報告者 駒場新町自主防災会 高見久雄 様

駒場新町自主防災会の高見久雄さんからは、防災備蓄品倉庫や地区公民館などに防災備品や非常食・飲料水を計画的に備蓄されていることが報告されました。

ただ、一人分が高額になるものはたくさん備蓄できないなど、共助による備蓄には限界もあることが分かりました。

3. 参加者による意見交換

災害備蓄に関する2つの報告を踏まえ、参加者による意見交換の時間を持ちました。
最初に自助について、水害時に車中避難する場合の備えと自宅で避難する場合の備えについて防災士の串尾さんが話されました。車内に常時置いてあるものや非常時のリュック持ち出し品、自宅避難の際に三日間を想定した蓄電器や水、ガスボンベなどの準備物のリストを配布していただき大変参考になりました。

また市の公的備蓄に関する質問もあり、危機管理室長や備蓄担当者が補足説明されました。


出席した自治会役員からは、自助による備蓄の意識づけにと公的助成を受け非常食を住民に配布する計画なども紹介されました。
また、防災用品に詳しい方から非常用アルミシートの使用について注意すべき点などの指摘もありました。

災害から生き延びた命が劣悪な避難環境に起因する災害関連死で失われたり、避難生活の中で基本的人権が保障されないような事態は許されません。
参加者からは、「災害から命を守るための準備を自助・共助それぞれの対場で進めることは当然ですが、最後の頼みの綱である公助による計画が『絵に描いた餅』でなく、実際の場面で十分に役立つものか心配」との声も聞かれました。
今後、福知山市に最大の被害をもたらすとされる三峠断層地震に備える備蓄の問題が、自助・共助・公助のそれぞれの分野でたいへん重要になると思われます。

《講評》 

福知山市危機管理監 松本美規夫 様

研修第2部の最後に松本危機管理官から講評を受けました。私たちの研修会への深い理解と激励に対し心から感謝を申し上げます。
今回の会員等研修会には福知山市危機管理室・福祉保健部、消防署、福知山市社会福祉協議会、福知山公立大学から参加をいただきました。また、福知山市議会議長田渕裕二様など市議会議員の皆様にも参加していただきました。

《事務局から》 

第7回公開研修会の取組について

次いで、11月16日(土)夜に開催予定の第7回公開研修会の取組について事務局から提起しました。今回のテーマは「土砂災害から命を守る」です。ぜひ多数ご参加ください。

閉会あいさつ

最後に塩見米市副代表が閉会挨拶を行い、令和6年度会員研修会を締めくくりました。

《参加者感想》

~お正月の能登半島地震、先日の能登半島豪雨・・・自然災害の恐怖に 備えの重要性を再確認しています。今回は「災害対応のための備蓄について」をテーマにお話を聞かせていただきました。市の公的備蓄は何が資材としてあるのか、自治会や個人で準備されている避難グッズや備蓄物資の紹介を聞きながら、私自身の避難グッズの不足分を週末に購入しようと思いました。私も災害時の食品はローリングストックと考えインスタント食品をストックしていますが、家族間でのコミュニケーション不足からか??大半が食され減ったままの状況になることが多々あります。家族間で災害が起こったらどうするのか、最初の3日間、1週間の過ごし方も含めて繰り返し話すことも大事だと再認識しました。まずは 自分の命を守りそして、できることを・・・地域の仲間にも学んだ内容を伝えていきましょう。~

《追記》
参加者アンケート結果を今後掲載予定です。