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2026-07-18

第10回公開研修会実施報告(1)

福知山自主防災ネットワーク

第10回公開研修会《実施報告》

主催:福知山自主防災ネットワーク
後援:福知山市/福知山市社会福祉協議会/両丹日日新聞社
日時:2026年7月5日(日) 13:30-16:30
会場:交流プラザふくちやま 3F 交流スペース
研修テーマ:「大規模災害への備えを考える」


《当日の内容》

  1. 開会あいさつ 福知山自主防災ネットワーク代表 仁張 衛
  2. 問題提起 「大規模災害への備え」7つの課題(福知山自主防災ネットワーク事務局
  3. 研修1 自宅避難を想定した準備と備蓄(福知山市危機管理室)~停電・断水の中、私たちは3日間どうやって命をつなぐのか
  4. 研修2 福祉避難所の役割と運営(福知山市社会福祉協議会)~重度の自力避難困難者の命をつなぐために
  5. 研修3 防災意識向上をめざす地域の取組(昭和学区自治会長会)~災害への対応力は知識・つながり、そして健康づくりから
  6. 質疑
  7. 講評 福知山市危機管理監 川口 富生 様
  8. 連絡 福知山市危機管理室・自主防災ネットワーク事務局
  9. 閉会あいさつ 福知山自主防災ネットワーク副代表 豊島 建治

◇参加者84名
◇情報保障担当者6名(手話通訳者3名、要約筆記者3名 ※会員と重複2名)

Ⅰ 当日の概要 

令和6年元旦に発生した能登半島地震では、多数の住宅倒壊や道路の寸断による救出・救助の遅れ、孤立集落の発生やライフラインの復旧の遅れに加え、避難生活の長期化による生活環境悪化など「命をつなぐ避難」に関し多くの課題が明らかになった。
福知山市周辺には6つの活断層(三峠断層、上林川断層、山田断層、養父断層、郷村断層、若狭湾内断層)があり、特に三峠(みとけ)断層地震による被害想定は、死者260人、負傷者1,521人、短期避難者が19,447人にも上り、上水道の 90%超が断水となる恐れがあると想定されています。このことから、由良川の氾濫や内水氾濫、土砂災害等などへの災害対応に加え、地震災害による大規模災害への備えが急務となっている。
今回の第10回公開研修会では、大規模災害にどう備えるのかを行政・福祉・地域の各視点から、命を守るための具体的な行動について学びを深めた。

1 問題提起 大規模災害への備え 7つの課題

 福知山自主防災ネットワーク事務局

最初に、能登半島地震を受け京都府が17年ぶりに行った「地震被害想定見直し」と、それを受け福祉山市が策定した「大規模災害対応力強化指針(案)」の主要な点が共有された。
福知山市が想定する「大規模災害」は、長田野から南丹市に延びる三峠(みとけ)断層地震によるものとされている。
この地震が発生した場合、市内中心部では最大震度7が予想され、全壊建物は約1万4,000棟、避難者は約1万9,000人に達すると試算されている。 
地震発災後の福知山市におけるライフライン復旧見込みも報告され、それによると上下水道のほぼ完全復旧までに約1ヶ月を要する見込みとなっている。(下記参照)

京都府は被害想定の見直しに合わせ、災害に備えた備蓄の基準も見直した。それを受け、福知山市でも新たな備蓄計画が考えられている。

福知山市備蓄計画
①三峠(みとけ)断層地震による被害を最大被害と想定
②家屋全壊・全焼被災者数による短期避難者数19,500人が公的備蓄の対象者
③備蓄食料は、1日3食の3日間分
1日目は福知山市の備蓄、2日目は京都府の備蓄、3日目は近隣市町による融通備蓄でまかなう。

以上の被害想定や公的備蓄計画の状況を踏まえ、福知山自主防災ネットワーク事務局は大規模災害に備える上で重要と思われる7つの課題を提起した。

《課題1》自宅避難のための備え(自助)

  • 公助が届くのに3日は必要とされている。それまでの3日間、停電・断水の状況で生き延びるための準備と備蓄を行う。

《課題2》車中泊避難のための備え(自助)

  • 3日間、車中泊で安全に生き延びるための準備と備蓄、注意点を知る。

《課題3》避難所で過ごすための備え

  • 携行すべきものの準備(自助)
  • 避難所での注意点を知る(自助)
  • 避難所の環境改善、受け入れ態勢の整備(公助、共助)
  • 長期避難の際の避難所運営((公助、共助、自助)

《課題4》ハンディのある人への避難支援準備(公助、共助)

  • 福祉避難所の活用とボランティア確保 ※市の認定・事前登録
  • 通常避難所での支援体制 ※専門家の巡回・配置など
  • 自宅避難者の見守りと支え

《課題5》地域住民全体への啓発活動の取組
《課題6》普段から地域のつながりを深める取組
《課題7》「災害関連死」を防ぐための知識と普段からの健康づくり


2 研修1 自宅避難で3日間生き抜くための準備と備蓄

福知山市危機管理室からは、「なぜ在宅避難なのか」という問いが投げかけられた。 避難所はプライバシーの確保が難しく、感染症リスクやトイレ問題など過酷な環境になりがち。自宅が安全であれば、住み慣れた場所で過ごすことが心身の健康維持に直結する。 在宅避難を可能にするには、人命救助の活動が優先されるため自宅避難者などへの支援が届きにくい最初の72時間(3日間)を自力で生き抜くための準備をしておくことが鍵となる。



◇トイレ対策が最優先: 発災後、最も早く(約3時間後)困るのはトイレ。水洗トイレが使えない状況に備え、凝固剤を使用した携帯トイレの備蓄が必須である。研修では実際に凝固剤で水分を固めるデモンストレーションが行われ、その即効性に驚きの声が上がった。


ローリングストックの実践: 特別な非常食だけでなく、普段から食べている食品を多めに買い置きし、使ったら買い足す「ローリングストック」が推奨された。

◇寝室の安全確保: 倒れやすい家具の固定はもちろん、夜間の被災に備えて枕元にスリッパと懐中電灯を置くといった、今日からできる一歩が命を分けると強調された。


3 研修2 福祉避難所の役割と運営

 一人も取り残さない「福祉」の視点

災害発生時の大きな課題の1つに自力避難困難者に対する避難支援の課題がある。地域には、高齢者や乳幼児・子ども、障害のある方、外国人の方など、災害発生時に自力で避難所へ行くことが困難な方がいる。このような自助による避難が困難な方に対しては、共助(地域)と公助(行政等)による避難支援が考えられている。

福知山市においては公助による避難支援として、「災害リスクや心身の機能レベル等を考慮し、共助の支援では避難が困難な要支援者」を約300人選定し、市が中心となり個別避難支援計画を作成している。その300人以外に福知山市の「避難行動要支援者名簿」に約3000人が登録されていて、共助による避難支援が期待されている。その他に地域にはその名簿に登録されていないよう避難支援者がさらに多くいるのが実態。

今回は、「重度の避難困難者」として公助による避難支援が認定された方について、福祉避難所への移送とそこでの避難生活支援について研修した。

福知山市では、事前に公助対象者として認定された方(約300人)に、
①福祉専門職と地域関係者などの協力で個別避難支援計画を策定し、
②災害危険時には、予め決められた福祉避難所へ「移送サポーター」が車椅子対応車
両等で移送し、
③福祉避難所(高齢者施設等)では、「避難生活サポーター」が受け入れ対応し、以後の避難生活を支援する。

以上のようなシステムが考えられている。

福知山市社会福協議会は、この③の「避難生活サポーター」の養成事業を受け持ち、これまでに養成講座を何回も実施している。今回はその取組の報告を受けた。
コミュニケーションの取り方のワークショップも行われ、不安な中にある避難者に対し、「同じ目線で」「動く前に必ず了承を得る」などの配慮が安心感に繋がると強調された。
この「避難生活サポーター」養成講座の受講は、福祉避難所で役立つだけでなく、地域で配慮が必要な方に対応する際役立つ。積極的な受講が望まれる。



4 研修3 防災意識向上をめざす地域の取組

 昭和学区の取組

地域の取組事例として、昭和学区自治会長会の活動報告が行われた。昭和学区は、人口1万人を超える市内で最も人口の多い行政区である。

昨年11月末に初の「防災フェスタ」が開催された。昭和小学校を会場に、福知山市危機管理室・健康福祉部・こども家庭部、福知山消防署、福知山市社会福祉協議会、福知山市消防団中央分団、防災備品専門業者、防災士、キッチンカー、屋台出店など、多くの団体・組織・個人の協力を得て多彩な企画が展開された。

特に、福知山市危機管理室と昭和小学校からは企画段階から多大な支援を得、1年がかりで準備した。当日の参加者は全体で380名、当日のスタッフを兼ね多くの自治会役員の参加も実現させた。

《企画内容》

1. 講演
①身近にある地震の危険」(京都府災害対策課)
②「災害関連死を防ぐために」(中丹西保健所長)
③「地域の自主防災活動の取組」(大江町蓼原自治会長)
2. 防災体験(福知山消防署・消防団中央分団)
 起震車体験、消防車体験、水消火器訓練、消防団活動展示
3. 防災に関する展示(福知山市危機管理室・防災専門業者・防災士)
4. 災害時の避難支援を考える企画
(福知山市健康福祉部・こども家庭部・福知山市社会福祉協議会・昭和地区民児協)
子ども向け防災紙芝居上演、災害時に役立つグッズづくり、車いす体験 など
5. 災害時の人権を考える企画(昭和学区人権を考える会)
6. 特別企画
①能登半島地震復興支援活動写真展(福知山公立大学学生団体「七福ふっこう隊」)
②防災意識アンケート実施(福知山市社会福祉協議会)

起震車体験や防災グッズの抽選会を通じて、楽しみながら防災知識と意識を高める工夫がなされていた。

また、昭和学区では、夏の熱中症、冬の住宅火災やヒートショックを災害と位置づけ、毎年啓発活動(リーフレットの各戸配布)に取り組んでいる。また、健康長寿をめざし筋力トレーニングや認知症予防に役立つ冊子の配布も行っている。
この取組には、普段から健康づくりに取り組むことが、災害時に自力で動ける身体を作り、避難生活のストレスに耐えうる力を育むことにつながるとの考えが反映されている。
最後に、昭和学区広報紙「ハートフル」の紙面を通じた地域の取組交流、世代間交流、そして様々な情報発信による啓発の重要性が述べられた。

以上のように、この発表のサブテーマである「災害への対応力は、知識、つながり、そして健康づくりから」に沿い、詳しい報告がなされた。


5 質疑応答

時間の制約があったものの、「避難所に十分な備蓄はあるのか」「断層の活動履歴はどうなっているのか」といった熱心な質問が飛び交い、参加者の関心の高さが伺えた。 そのことは、アンケートの記述によっても確認できる。 


6 まとめ

福知山市危機管理監・川口富生様の講評、そして福知山市自主防災ネットワーク豊島建治副代表の閉会あいさつにより、今回の第10回公開研修会の成功を確信することができた。

大規模災害を前に、私たち一人ひとりができることは小さく見えるかもしれないが、家庭での備蓄(自助)、そして隣近所との声掛けや助け合い(共助)を積み重ねることで、福知山市民の防災力は確実に高まっていく。地域の防災力をさらに高める上で、この研修会で得た知識をさらに多くの人と共有することが重要である。




情報保障の取組について 

※当日次第の裏面に記載した内容
今回は、聞こえにくい方や聞こえない方のために、要約筆記者と手話通訳者を配置しております。
要約筆記や手話通訳が設置されている場面でも、「自分には関係ないもの」と受け止められてしまうことが少なくありません。しかし、聞こえにくさは障害のある方だけに限ったことではなく、高齢による聴力の低下など、私たちの身近なところにも多く存在しています。
地域には、高齢で聞こえにくい方や聞こえない方が多くいらっしゃいます。災害時には、避難所などで情報が十分に伝わらず、必要な支援や情報から取り残されてしまう可能性があります。
自主防災ネットとして、こうした方々への情報伝達は重要な課題ととらえ、避難所運営や地域での防災訓練の際には、「聞こえにくい方や聞こえない方にも情報が伝わるか」という視点を持つことが大切です。
今回の研修では、要約筆記や手話通訳を特別な配慮としてではなく、地域の誰もが必要とする可能性のある情報保障の一つとして捉えていただきたいと思います。誰もが安心して避難できる地域づくりのために、ぜひそれぞれの地域でも話題にしていただき、できるところから取り組みを広げていただければ幸いです。
後になりましたが、今回お世話になる要約筆記者及び手話通訳者の皆様に心から感謝を申し上げます。
福知山自主防災ネットワーク

要約筆記者の作業の様子